オープン前のある朝
暗いからよく分からず、自転車のライトを頼りに、広場の中を入っていった。
ポールのてっぺんについてる光で、わずかにしか見えない看板をのぞくと自転車乗り入れ禁止の文字。
「誰も、いないからいいよね」
見つからないように、ゆっくり端っこに自転車を置いて。
トラックや乗用車が走る音が聞こえ、
カラスが鳴く、カァーカァーという音、
風がながれて、
もくもくと煙のような雲がゆっくりと明るくなっていく。
犬をつれて散歩する人が、ちらほら。
とんがり帽子のような木が目の前にあって、風で枝が揺れてる。
回りを通る車の数が増えて行ってる。
見上げると、遮るもののない世界。
でも青空じゃなく、所々濃いところのある雲一面。
なんだか屋上に行るみたいだ。
カラスの声が少なくなり、雀の声が増えてきた。
どんどんと、車の音も増えてる。
お日さんは、いつ現れるんだろう?
ときおり吹く風が涼しくって心地よい。
青い空が少し見えてきた。
ついでに、カラスの声も付いてる。
マット持ってきて寝っ転がりたい。
あ~ぁ~、持ってきたミルクティーをそうそうに飲んじゃって、物足りないや。
お日さんの出口には、厚めの雲があるみたい。
見えたら帰ろうと思ってるのになぁ。
ツバメの群が飛んでいって、一羽だけが自分の方に来て、視界から消えていった。
犬を連れてる人、ただ散歩する人、半々でぱらぱらいる。
犬連れの左からきた人と、右からきた人が合流してしばし歓談。
犬同士も挨拶なのか、ちょっとばかし吠えてる。
救急車のサイレンが近づいてきて、
スピーカーから「救急車が通ります。救急車が通ります。」
犬が退屈になってきたのか、早くいこうよの軽く吠える声が聞こえる。
それでも人間の方は、おしゃべり中。
あっこらへんに、お日さんがいそうなんだけど。
人の違いより、犬の違いに目が向く。
詳しくないけど、いろんなのを見るのは面白い。
あれっ、また人が合流しちゃった。
えいっ、寝転がっちゃえ!
鳥が真上を飛んで、真っ白なお腹が最大面積で見える。
ほんと、風が気持ちいい。
座っていたんだけど、みんな立ち上がり、でもおしゃべりは続く。
ふと、山がほとんど見えないことに気付く。
郊外の南大阪とは勝手が違うらしい。
お日さん待ちをしてたら、また一人、犬を連れた人がおしゃべりに合流。
止まっている犬と動いている犬。
なんか楽しそ~。
空の色の青さが濃くなってきた。
風気持ちいいと思ってたけど、これ台風の影響だったりするのかな…
やっと、お日さん、見えた。
あかるい、まぶしい。
影ができた。
それにしても、やっぱり都会はすこし密度が高いみたい。
今度は、魔法瓶でお湯もって、お抹茶もって、野点しよ。
今日もオープン準備をする宰へ。
前夜祭、オープニングイベント、お待ちしております。